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ロックの部屋

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MY BLOODY VALENTINE

マイ・ブラッデイ・ヴァレンタイン『LOVELESS』~ギター・ポップ度★★~



その昔70年代に【ルー・リード】が出した『メタル・マシーン・ミュージック』というアルバムは、ノイズの暴力性という意味では、恐ろしいアルバムだった。音楽を聴かせるというよりは、聴いて不快感を植え付けさせるような金属ノイズ。当時のこのアルバム評は「こんなの音楽ではない!」と言うのがほとんどだと思いました。当時は2枚組のアナログレコード、高かったけど通しでどうにか2回程聴いて投げ出してしまいました。

それから、ソニック・ユースに受け継がれた暴力的なギター・ノイズの英国的な展開という意味でジーザス&メリー・チェイン、マイ・ブラッデイ・ヴァレンタインという流れがあると思うのですが、つまりギター・ノイズとポップ・ソングの融合です。

『LOVELESS』の中では一番ノイジーな「to here knows when」というそれ(『メタル・マシーン・ミュージック』)に似たノイズのうねりを持った曲がありますが、まだまだだいぶ聴きやすいです。

ヴォーカルが甘い女性の声というのが核心を突いている。言葉ははっきりとは聴きとれない。あくまでギター・ノイズが表の顔です。

リーダーのケヴィン・シールズはこんな事を言っています。
「マイ・ブラッデイ・ヴァレンタインの目的は、可能な限り大きなノイズを生み出して、オーディエンスの反応を見ることだった。リスナーひとりひとりが異なるセンスを持っているからみんなを喜ばせるのはとっても難しい。だからリスナーに影響を与えるというのが俺たちの音楽で出来ることなんだよ。」

つまり、誰もやった事がないアルバムを作って皆をびっくりさせたいという事か。それはともかく成功している。90年代的には……

このアルバムの制作には18人のエンジニアが関わり、1年半の年月を要し、制作費は4500万円もかかったと言います。

あーでもない、こーでもない、あーしよう、こうしようで1年半も費やしたのだろうか?エンジニアの実験工房化したんでしょうな、きっと。

ギター・ノイズを甘みで心地よいポップ・ソングに応用可能とした点では歴史的なアルバムと言えます、確かに。

でも2004年今となっては耳が慣らされたのか、たいして衝撃度のない音でもあります。【ビョーク】や【マリリン・マンソン】の方が革新的であるし、恐ろしいと思う。

時代の流れは速い。これ以来13年もアルバム出していないというのは、怠け過ぎなのか、アイデアが浮かばず苦悩しているのか、それとももっと凄い物を作ろうとしているのか、どっちなんだろう。
教えてください、ケヴィン・シールズさん。

                        (2004-09-26記)


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